スーパーに行くと「なんか、野菜高いなあ…」
ガソリンスタンドに行けば「最近ガソリンが高い…」
コンビニに行っても「好きな商品が値上げしている?」
最近ニュースを賑わせているのは、さまざまな商品の値上げ。これらの原因は物価高騰「インフレーション」略してインフレとも言われる現象です。
加えてニュースでよく取り上げられているのが「円安」です。
2022年4月ごろから、テレビからは「1ドル120円台に突入」「1ドル130円台を突破」というフレーズがよく聞こえますよね。
長引く物価の上昇や円安。しかしこれらは一体何が問題となっているのでしょうか?
今回はこのインフレや円安のニュースについて解説して行きたいと思います。具体的にはこちら!
・インフレーションや円安の原因
・日本のインフレーションや円安の問題点
・日本経済の将来は危うい?
この記事を読めば、今の日本経済の危険性がよくわかるようになります。今後新たな視点でインフレや円安のニュースを見ることができるようになりますよ。
ぜひ最後までご覧ください。
インフレーションの原因
インフレーションの原因は、様々なものがあります。その原因によって「良いインフレ」と「悪いインフレ」に分かれます。
良いインフレは、景気が上昇し経済活動が活性化することで、消費の需要が増えて物価が上昇するという場合です。こうした場合は、物価だけでなく賃金等も上昇している状況なので、好循環な経済活動ができている状態となります。
一方悪いインフレは、原材料の高騰や国外のインフレの影響を受け、景気状況によらず物価が上がってしまうという場合です。こうした場合は、余計なコストが増えて企業の利益が減ります。消費者の給与が変わらず物価だけが上がるので、生活を圧迫してしまう状態になってしまうのです。
こうした様々な要因によりインフレは引き起こされ、要因によって、良いものと悪いものに分けることができます。
円安の原因
円安についても、原因は様々です。
円安とは、簡単に言うと他国の貨幣に対して、円の価値が下がることを言います。
例えば、最近まで100円で売られていたものが130円で売られるようになったとした場合、今までより30円多く払わなければなりません。
ドルに置き換えると、1ドル100円だった時は100円でドルに交換できたのに、1ドル130円になるとさらに30円多く払わないとドルに交換できなくなります。
同じ1ドルを交換するのにここまで値段が変わるということは、それだけ円の価値が低くなっているということなのです。
円安は起こる要因も異なります。輸入品の価格上昇によって起こるインフレが円安を引き起こす場合もあります。また、国の借金(国債)の増加による経済の停滞が円安を引き起こす場合もあるのです。
この他にも、複数の要因が絡み合って円安となることがあります。
2022年の円安の原因は?
2022年4月からの円安の原因となっているのは、日本と欧米の「金利」の違いにあります。
- 日本の金利:金融緩和の方針をとっており、低い。
金融緩和:中央銀行が景気アップを図るために、金利を下げたり、資金供給量を増やして消費活動を促すこと - 欧米の金利:金融引き締めの方針をとっており、高い。
金融引き締め:中央銀行が景気安定を図るために、金利を上げたり、資金供給量を減らして消費活動の熱を下げること
この異なる方針により金利差がどんどん広がり、円安を招いています。
欧米では2022年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻をきっかけに各種原材料の高騰、インフレーションが懸念されました。このためアメリカの中央銀行(FRB)が金融引き締めの姿勢を見せ、金利を上昇させました。
一方日本では徹底した金融緩和の方針をとっています。しかし、ここ数年は経済消費活動の割に一向に景気が良くなっていません。なので引き続き緩和方針を取らざるを得ないという状況です。
加えて、日本も他国同様インフレの影響を受けており、さまざまな物の商品が値上げされています。
こうした金融政策の方針の違いに加え、国際的なインフレの影響を受けてどんどんと円の価値が下がり、円安が続いています。
2022年の円安・インフレはどう問題なの?
今回の円安・インフレは果たして問題なのか?ということですが、結論から言うとかなり大きな問題と言えます。
これまでの考え方
日本経済は元来、円安を良しとしてきました。
円安になると海外企業が日本のものをたくさん買ってくれるため、輸出が増えます。輸出が増えると企業の利益が上がり、賃金の増加や消費増となります。
こうした輸出による利益を生み出すことで、国内経済に好循環が生まれると言う見立てだったのです。
実際、バブル期にはそれまでの円高が嘘のように円安が続きました。
しかし、日本政府は過剰な金融緩和による好景気の熱をコントロールできず、バブルは崩壊。以降は円高が続き、長らく日本の景気は停滞気味です。
現在の考え方
では、今回の円安はというと、バブル期とは訳が違います。現代は当時とは比べ物にならないほどの不況です。ここに物価上昇と利益減が乗っかってくるのですから、単なる負担にしかならないのです。
下記のイラストのような感じでしょうか。
バブル崩壊後と比べて、さらなる不況が待っているという状況ですね。
景気が良くならない中で物価上昇が起きてしまうことをスタグフレーションと言いますが、今の日本はこのスタグフレーションに陥りそうになっている状況と言えるでしょう。
海外からは日本のものが安く買われて利益が産めず、国内では様々な物の値段が上がり、家計を圧迫しています。このままでは企業も国民も、苦しい状況を強いられることになるのです。
スタグフレーションが今後の日本経済において悪い影響となることは、容易に予想できます。なので各報道機関で連日のようにマイナスな印象のニュースとして取り上げられているのです。
今後の日本経済の課題は?
今後の日本経済の課題としては、次の4つをクリアしていく必要があります。
- 生産活動の増加
- 消費活動の増加
- 利上げへの適切な判断
- ロシアのウクライナ侵攻の解決
どれも大変難しい課題ですが、これらをクリアしてくことが今後の経済回復につながるはずです。
生産活動の増加
まずは生産活動が増えることが重要となります。
日本の2022年1〜3月期の国内総生産(GDP)は538兆円と2019年10〜12月期の541兆円を上回ることができておらず、依然としてコロナ禍以前の水準までの回復ができていません。
元々、ここ数年日本は先進国の中でもGDP成長率が著しく低くなっていました。これにコロナが加わり生産活動はますます鈍りを見せています。
こうした実態があるため、国を挙げて生産性の向上に取り掛かることが景気の回復には重要となります。
景気回復となれば、円安やインフレを適切な景況で迎えることができるようになるはずです。
景気が上昇すれば賃金が増加します。賃金の増加が、次の消費活動の増加につながるのです。
消費活動の増加
消費活動についても増加が重要となります。
消費活動のあり方もコロナ禍で大きく変わり、ネットショッピングやオンラインでの購入などのデジタル化が急速に進みました。これにより急速に需要が伸びた分野、大きく需要を落とす分野も見受けられました。
こうした新たな消費活動スタイルに生産活動が追いついてくるようになれば、需要・供給が適切なバランスを保てるようになるかもしれません。
消費活動の増加には賃金の上昇も欠かせません。逆に言えば、賃金が上がらないと消費は増えないということが言えるでしょう。好景気を保つためには、生産・賃上げ・消費の適切な循環が重要ですね。
利上げへの適切な判断
「金利を上げる」という判断と上げるタイミングも非常に重要です。
現在日本の中央銀行である日本銀行は金融緩和政策をとっています。低金利で企業の投融資を促し、資金供給を増やすことで景気の回復を見込むためです。
現在は国際的なインフレの影響が想像以上に強く、景気の回復が見込めないまま物価の上昇を迎えています。しかし日本銀行は「安易な利上げは逆に景気が冷え込む」とし利上げは行わないことを発表しています。
現段階での利上げはなくとも、今後の景気次第では利上げのタイミングが来る時があるでしょう。適切なタイミングでの利上げを行い、バブルのような失敗を再び起こさないことが重要となります。
ロシアのウクライナ侵攻の解決
これに関しては日本が直接的な支援ができるというわけではないのでクリアには大きな時間を要するかもしれません。
日本もロシアへの経済制裁を行っていますが、現時点ではロシアに劇的な大打撃を与えるには至っていません。むしろ輸入国である日本の方が被害を受けているようにも見えます。
今回の侵攻による世界的なインフレで、改めて日本があらゆる資源を輸入に頼っていたことに気づかされました。今後は国内での資源生産力・自給力を伸ばしていく必要がありそうですね。
まとめ
ここまで、インフレ・円安の問題点と、今後の日本経済の課題について話してきました。
今回のインフレ及び円安は、日本にとって大変苦しいものであり、どういった選択を取っても景気回復への道のりは険しいものが予想されます。
少なくとも「家計が値上げを受け入れている」わけではないので、適切な金融政策が行われることを切に願うと同時に、我々もできる範囲での消費活動で日本経済を支えていく必要がありますね。
国も難しい選択を強いられており「国が全て助けてくれる」ような時代ではなくなったということが伺えます。今後もできることは自ら行動することが求められてきそうですね。
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