2022年2月に行われていた冬季北京五輪では、多くの選手が活躍し、日本中が熱狂に包まれました。
その中で、前回(2018年)の平昌五輪に続き大きく盛り上がった競技があります。それがカーリングです。
カーリング女子は2018年平昌五輪で銅メダルに輝き、カーリング日本勢初のメダル獲得を成し遂げました。そして4年後の北京五輪では平昌五輪を上回る銀メダルを獲得し、再び日本中に感動を与えてくれました。
北京五輪で日本代表として戦ったのは、ロコ・ソラーレというチームです。今回はこのロコ・ソラーレをピックアップ!この記事では次のようなことをお話ししていきます。
- ロコ・ソラーレの歴史について
- ロコ・ソラーレに所属する選手について
- ロコ・ソラーレの強さの秘訣
この記事を読んで、ぜひ今後のロコ・ソラーレのさらなる活躍を見届けていきましょう!
ロコ・ソラーレについて
ロコ・ソラーレは、一般社団法人ロコ・ソラーレ(代表理事 本橋 麻里)が運営するカーリングチームです。2010年8月に北海道北見市常呂町出身の5名の選手で結成されました。
その後メンバーの脱退・加入を経て、現在は5名の選手で活動しています。
チーム名の由来は、「ローカル」と常呂町で生まれた子の通称「常呂っ子」を意味する「ロコ」とイタリア語で太陽を意味する「ソラーレ」です。常呂町から太陽のように輝きを持ったチームになるように「太陽の常呂っ子」という意味を込めて名付けられています。
日本のカーリングチームは「北海道銀行」や「中部電力」のような実業団、かつての「チーム青森」のような県協会に所属するチームが多い中で、ロコ・ソラーレは珍しく法人運営の形態をとっています。
なので、選手の所属先は全員バラバラ。さらにグッズ制作、広報、スポンサー募集などを全て法人で行っているのも特徴です。
ロコ・ソラーレはこのように、チームの運営をしながら日本のカーリング界の発展に大きく貢献してきているのです。
ロコ・ソラーレメンバー① 吉田 夕梨花
それでは、ロコ・ソラーレの主要メンバーを紹介していきましょう。
まずは紹介するのは吉田夕梨花選手です。ロコ・ソラーレ創設時のメンバーである吉田夕梨花選手。ロコ・ソラーレには吉田姓が2人いますが、この2人は姉妹で、夕梨花選手は妹です。
夕梨花選手のプロフィールはこのようになっています。
名前 | 吉田 夕梨花(よしだ ゆりか) |
生年月日 | 1993年7月7日 |
出身 | 北海道北見市常呂町 |
身長 | 152cm |
所属先 | 医療法人社団 美久会 |
ポジション | リード |
愛称 | ゆり |
夕梨花選手はチームの最年少メンバーです。いったいどんな選手なのか、夕梨花選手の特徴を見ていきましょう。
チームでの役割
夕梨花選手のポジションはリードです。リードはチームの1・2投目を担当します。
カーリングは1エンド8投で、10エンド終了時点でより得点の多いチームが勝利します。選手にはそれぞれのポジションがあり、ポジションによって投げる順番が変わります。
リードは各エンドの最序盤でストーンを投げるため、試合の組み立てを左右するポジションです。高いゲームメイク能力や正確なジャッジが求められます。
投げるストーンを狙った位置に止める、ドローショットを得意とする選手がこのポジションを務めます。
夕梨花選手はチーム最年少ながらとても冷静で、チームのことを考えて気遣いができると評されています。選手と笑顔を交えながらも飄々とストーンを投げる落ち着いた姿は、ゲームメイクのポジションであるリードとしてもワールドクラスで、チームに安定感をもたらしています。
選手としての特徴
夕梨花選手の最大の特徴は、「ゆりかタイム」とも評されたウィックショットの精度の高さです。
ウィックとは、自分が投げたストーンを相手のガード役のストーンに少しだけ当ててずらし、相手の防御を崩すショットです。
カーリングは、両チーム合わせて5投目まではガード役のストーンを弾き出すことができません。アウトにならないような勢いで相手のストーンをずらすには、大変繊細な投球が求められます。
夕梨花選手はこのウィックショットが非常にうまく、チームでも「職人技」と言われるほどです。北京五輪では、あまりにも安定したショットを連発することから「ゆりかタイム」と評され話題になりました。
ドローショットも安定感があり、自ら几帳面と称する性格がよく現れています。コツコツと堅実なショットを積み重ね、後続の選手へしっかりと流れを作る役割を果たしています。
また、ストーンのスピードを見る目にも定評があります。投球時の力の加減はカーリングでは重要な要素で、これをウエイトといいます。夕梨花選手はこのウエイト管理能力に長けており、チームに的確なウエイトを伝え、後に投げる選手へしっかりと情報を共有しているんです。
名シーンはこれ!
夕梨花選手のショット動画も紹介しておきます。まさに職人芸の域です。
確実なショットを連発するゲームメイカー、夕梨花選手の紹介でした。
ロコ・ソラーレメンバー② 鈴木 夕湖
続いては鈴木夕湖選手の紹介です。天真爛漫なチームの愛されキャラです。学生時代は工学を専攻するなどリケジョとしても知られています。
鈴木選手のプロフィールはこのようになっています。
名前 | 鈴木 夕湖(すずき ゆうみ) |
生年月日 | 1991年12月2日 |
出身 | 北海道北見市常呂町 |
身長 | 145cm |
所属先 | 北見石油販売株式会社 |
ポジション | セカンド |
愛称 | ゆうみ |
夕梨花選手同様、チーム創設時からメンバーの鈴木選手。それでは、鈴木選手がどんな選手か、特徴を見ていきましょう。
チームでの役割
鈴木選手はセカンドというポジションを務めます。セカンドはチームの3・4投目を担当します。エンドの序盤から中盤にかけてストーンを投げるため、リードが投げた展開を踏まえてチームに流れを持ってくるのが仕事です。
相手のストーンを弾き出すテイクアウトショットが得意な選手が務めるポジションです。
鈴木選手はONとOFFの切り替えがうまく、試合中はチームを元気づけている場面もあれば、力強いパフォーマンスで頼もしい姿を見せてくれることもあります。大会期間中もミスや敗戦を引きずらず、常にフランクに試合に臨んでいました。
また、チーム関係者から「根性がある」とよく評されており、その気合いみなぎる姿が、チームをより一層盛り立てています。
選手としての特徴
鈴木選手の特徴は「小柄だけどパワフル」なところです。
中でも特筆すべきはスイープ。これはショット後に滑るストーンの前をブラシで掃いてストーンとアイスとの摩擦を減らし、ストーンがより滑るように調整することです。
カーリングは身長が大きい選手の方がより強いスイープができて有利だと言われています。一方の鈴木選手は身長が145cmと、世界的に見ても小柄な選手です。
しかし、鈴木選手はブラシを構えた途端、小柄な体からは想像もつかないほど力強いスイープを繰り出すのです。海外の大柄な選手にも負けないスイープ力で、チームのミスショットを何度もカバーリングしてくれます。
海外では吉田夕梨花選手と併せて「クレイジースイーパーズ」とも呼ばれ、世界にその力強さを見せつけています。
ショットも非常にパワフルです。2021年の北京五輪世界最終予選の日本代表決定戦では、ショットでもスイープでもチームを引っ張り、MVPを受賞する大活躍を見せました。北京五輪でも難しいショットを何度も決め、ピンチの芽を摘み続けました。
また、大変な努力家でトレーニングも欠かさず行っています。身長がハンデとなることを充分に理解しているからこそ、並外れた努力と持ち前の根性でハンデを感じさせない活躍を見せています。
名シーンはこれ!
鈴木選手のスイープはこちらを見ていただければ、その凄さがわかります。
どこからその力が出てくるんだ?と驚きますよ。
努力を重ね続けるパワフルカーラー、鈴木夕湖選手の紹介でした。
ロコ・ソラーレメンバー③ 吉田 知那美
次は吉田知那美選手の紹介です。吉田知那美選手はリードの吉田夕梨花選手のお姉さんです。
屈託のない明るい笑顔と、名言が次々生まれる頭脳明晰なインタビューは、常に話題になっています。
(追記)知那美選手は7月26日、ご自身の誕生日にご結婚されました。おめでとうございます!
知那美選手のプロフィールはこのようになっています。
名前 | 吉田 知那美(よしだ ちなみ) |
生年月日 | 1991年7月26日 |
出身 | 北海道北見市常呂町 |
身長 | 157cm |
所属先 | ネッツトヨタ北見株式会社 |
ポジション | サード・バイススキップ |
愛称 | ちな、ちい |
試合中に見せる表情で常にファンを魅了する、知那美選手の特徴を見ていきましょう。
チームでの役割
知那美選手が務めるポジションはサードです。サードはチームの5・6投目を担当します。エンドの中盤から後半に差し掛かる場面で投げるため、戦況に応じて多彩なショットが要求されます。また、スキップ(最後に投げる人)へ最善の形で繋ぐのも大きな役割です。
加えて、基本的にスキップが投げる時は代わりにチームへ指示を出します。ショット、スイープ、指示出しと実は一番多くの役割をこなす必要のあるポジションです。
知那美選手はチームを笑顔にするムードメーカーの一面があります。試合中でも満面の笑みやドヤ顔などの豊かな表情、会場に響く笑い声や掛け声などで楽しませてくれます。明るいチームと言われるロコ・ソラーレの中でもとびきり明るい選手です。
また、スキップとリード・セカンドをつなぐ役割としてチームをまとめ、アイス上ではリーダーのような存在としてチームを引っ張っています。
知那美選手は、平昌五輪ではチームの数少ない五輪経験者としてチームを支えました。どんな試合でも常に笑顔を絶やさず、チームの支柱となっています。
選手としての特徴
知那美選手は中学生で日本選手権で3位入賞するなどジュニア時代から技術も申し分ありません。現在もチームのサードとして重要局面でのショットを任されています。
しかし、彼女の最大の特徴は声での貢献度の高さでしょう。
カーリングで作戦を遂行するためにはチーム内でイメージの共有や現状の把握などが欠かせません。また1投で大きく戦局が変わるため、互いを鼓舞し合いながら臨む必要があります。
知那美選手は試合中常に言葉を発しています。中継などを見ていても、一番よく聞こえるのは知那美選手の声です。
また、知那美選手はよく試合中に笑っています。彼女の座右の銘は「笑うということは、諦めないという決意」です。最後まで諦めていないことをチームメイトにもファンにも訴えているのですね。
他にも「こう投げてみたら?」と提案したり「こっちの方がいいかもね!」などと局面に応じてアイデアを出しながら試合運びをコントロールしています。
知那美選手の声は非常によく通る声質なので、外から見ていても、全員でイメージを共有しながら明確なコミュニケーションが取れているのがわかります。
こうした声かけはチームを安心させてくれるものですし、プレーヤーに大きな信頼を寄せているからこそできることでしょう。
名シーンはこれ!
知那美選手のアイデアとスキップ藤澤選手のショットがガッチリ噛み合ったシーンがこちらです。
ここでは日本は3点を確実に取ることが求められるのですが、知那美選手は4点を狙えると見て「ダブルロール」というショットを藤澤選手に提案します。藤澤選手もこれに賛同し、投じたショットは見事決まり、このエンドで日本は一挙4点を獲得しました。
これはかなり挑戦的なショットです。決める藤澤選手も凄いのですが、そのショットを提案した知那美選手も凄いです。
戦況を見ながらより良い選択肢を提案し、素直な言葉にして仲間へ共有する、それが当たり前のようにできるのが知那美選手の強みなのです。
笑顔全開の頼れるチームの太陽、吉田知那美選手の紹介でした。
ロコ・ソラーレメンバー④ 藤澤 五月
続いては藤澤五月選手の紹介です。ロコ・ソラーレ創設時はライバルチーム「中部電力」の選手でした。ロコ・ソラーレに加入し名実ともに日本一の司令塔へと成長しました。
藤澤選手のプロフィールはこのようになっています。
名前 | 藤澤 五月(ふじさわ さつき) |
生年月日 | 1991年5月24日 |
出身 | 北海道北見市 |
身長 | 156cm |
所属先 | 株式会社コンサルトジャパン |
ポジション | スキップ(フォース) |
愛称 | さっちゃん |
ロコ・ソラーレのエース格としてメディアにもよく取り上げられる藤澤選手。特徴を見ていきましょう。
チームでの役割
藤澤選手が務めるポジションは、スキップです。スキップは基本的にチームの7・8投目を担当します。(チームによっては他のポジションの選手がスキップを担当する場合もあり、その場合はフォースという名称になります。フォースもチームの7・8投目を担当します。)
エンドの最終盤で投げるため、ショットが得点に直結するポジションです。また、正確なコントロールショットが求められ、精神的なタフさも重要です。
また、スキップは自身が投げるとき以外は石を入れるハウスの方からメンバーへ指示を送ります。戦況を読み、頭脳をフル回転させながら試合に臨んでいるのです。
藤澤選手もスキップとしてチームに指示を送りながら、自身のショットで得点を重ねています。厳しい局面でも時折笑顔を見せながら真剣な眼差しでショットを決め続けています。
選手としての特徴
藤澤選手はなんと言っても「天才的な技術」の持ち主です。チームのメンバーは口をそろえて「さっちゃんが世界最高のスキップだ」と言います。
事実、ジュニア時代からメキメキと頭角を表し、現チームメイトの吉田知那美選手や鈴木夕湖選手ら同世代の中でも天才と称されるほど、一目置かれる存在でした。
一番の特徴はリスクを恐れない攻撃的な選手だということです。ハウスの中に石がたまる展開が得意で、ハイリスクハイリターンのショットを難なく決められる選手です。
頑固で負けず嫌いと評される性格はまさにスキップ向き。攻めのカーリングの姿勢は、チームの試合運びにも存分に現れています。
また、メンタルの強靭さが求められる中で、決めるべきところをきっちりと決められる選手です。藤澤選手の最終局面でのスーパーショットで、ロコ・ソラーレは何度も勝利を手にしてきました。
スキップとして悔しい思いもたくさんしてきたからこそ、ここ一番で正確なショットが出せる勝負強さを持ち合わせているのです。
余談
藤澤選手はカーリングへの想いも人一倍強いです。
北京五輪後に日本に帰ってきた際の取材で、行きたい場所はありますかと聞かれると、他のメンバーが「温泉に行きたい」「友達と会いたい」と答える中、藤澤選手はなんと「常呂のカーリング場に行きたい」と答えています。(その時の動画はこちらからご覧ください。)
カーリングに強い想いがあるからこそ、カーリングと真摯に向き合い続けることができています。この強い気持ちが今の藤澤選手の活躍につながっているのです。
名シーンはこれ!
藤澤選手のスーパーショットで記憶に新しいのは、北京五輪のデンマーク戦のラストストーン。
大逆転で勝利を収めたこの試合。大舞台、両チーム合わせて最後の1投でのスーパーショットでした。チームが勢いに乗る勝ち方をしたことで、一気に銀メダルまで上り詰めました。
誰もが認める天才スキップ、藤澤五月選手の紹介でした。
ロコ・ソラーレメンバー⑤ 石崎 琴美
続いては石崎琴美選手の紹介です。平昌五輪後に加入したベテランカーラーで、ソルトレークシティ、バンクーバー、北京と3大会の五輪を経験した実力者です。
2013年に一度現役を退いています。しかし、先に紹介したメンバーたちの熱烈なオファーにより2020年にロコ・ソラーレに加入、現役復帰を果たしました。
石崎選手のプロフィールはこのようになっています。
名前 | 石崎 琴美(いしざき ことみ) |
生年月日 | 1979年1月4日 |
出身 | 北海道旭川市 |
身長 | 167cm |
所属先 | 社会医療法人 松田整形外科記念病院 |
ポジション | リザーブ(フィフス) |
愛称 | ことみちゃん |
氷上に立つ4人を優しく支えるお姉さん、石崎選手を紹介していきます。
チームでの役割
石崎選手のポジションはリザーブです。リザーブはフィフスとも言われ、控えに回ります。選手の不調や怪我の場合に交代選手として出場します。
また、アイスの外から戦況を見つめ、選手への的確なアドバイスやメンタルケアなどに徹する役割です。
石崎選手は戦術面、精神面でのチームの支えを担っています。
大舞台の経験に裏打ちされた冷静な視点と抜群の戦術眼で、チームの作戦立てに貢献しています。試合中は選手たちを励まし、4人のメンタルケアやアドバイス役に徹しています。
石崎選手はチームに加入して2年ほどですが、4人からの信頼は抜群で、「琴美ちゃんには感謝しかない」と全員が口にするほど。5人目の選手として、アイスに立つ4人と同じ気持ちで試合に臨み続けています。
選手としての特徴
チーム青森時代はリードを務め、吉田夕梨花選手同様正確なショットが持ち味でした。バンクーバー五輪でもリードとして出場。チーム青森の最盛期を支えました。
ロコ・ソラーレに加入してからはリザーブとしてチームを支えています。注目されたのが五輪でのナイトプラクティスです。
試合後、出場した選手たちは休息をとりますが、石崎選手はこの間も重要な役目を果たします。実際に会場でストーンを投げて、アイスの状態を確認したり、ストーンによる滑りの違いを確認したりするのです。
カーリングは、会場ごとでアイスの質が全く異なり、ストーンも全く同じものというわけではありません。なので、同じ会場で同じストーンを同じように投げても、全く違う動きになるのです。
五輪でのナイトプラクティスで与えられた時間は、わずか10分間。この10分間で石崎選手は黙々とストーンを投げ、アイスの状態やストーンの癖を見抜き、次の試合へ備えていました。
石崎選手はこのナイトプラクティスを最善のコンディションで行い、正確な情報をチームに共有し続けました。チームの戦略の立て方に大いに貢献しているのです。
北京五輪でも、日本が勝ち進むにつれて「第5の女」と記事に取り上げられることが増えていました。中継でリザーブの選手が映し出されることは少ないです。しかし、そんなリザーブにスポットが当てられたのは、石崎選手の正確な分析と努力の結果でしょう。
名シーンはこれ!
リザーブから見た視点は、石崎選手のインタビューを聞くとよくわかります。アイスに立つ4人のことを一番近くで見ているからこそ、感じたことや気づいたことをしっかりと言葉にしてくれています。
ノーカット版は必見です。是非ご覧ください。
チームメイトを影で支える最強リザーブ、石崎琴美選手の紹介でした。
ロコ・ソラーレメンバー⑥ 本橋 麻里
最後に忘れてはいけないのが、本橋麻里選手です。本橋選手はロコ・ソラーレの創設者です。これまで紹介してきた選手たちの躍進、その原点を作ったのは彼女だと言っても過言ではありません。
本橋選手のプロフィールはこのようになっています。
名前 | 本橋 麻里(もとはし まり) |
生年月日 | 1986年6月10日 |
出身 | 北海道北見市常呂町 |
身長 | 160cm |
所属先 | 一般社団法人ロコ・ソラーレ |
役職 | 代表理事 |
愛称 | マリリン、まりちゃん |
若くして五輪を経験し、カーリング界の逸材として注目を浴び続けてきた本橋選手。彼女について紹介していきましょう。
チームでの役割
本橋選手の現在の役割はプレイングマネージャーです。法人の代表としてはチームの運営を、選手としては第一線を退いたものの、セカンドチームでスキップをしています。
本橋選手は、2010年に当時所属していたチーム青森を脱退し、地元常呂町でカーリングチームを設立します。これがロコ・ソラーレでした。
チーム発足後はリーダーとしてアイスで選手たちを引っ張り続けました。一方でチームの代表としてスポンサー集めや資金調達に奔走し、0からチームを作り上げてきました。
2015年の藤澤選手の加入により本橋選手はリザーブへ回りました。本橋選手は現在の石崎選手のように若いチームを影から支え、チームの成熟度を高めていきました。
2016年の世界選手権銀メダル、2018年の平昌五輪銅メダルと、当時日本史上初の功績を残し続けたチームを作ったのが、本橋選手なのです。
2018年の法人設立後は選手活動をセーブし、チーム運営に力を入れ始めます。平昌五輪銅メダルの効果もあり、多くのスポンサーやファンを獲得してきています。現在はグッズ展開も行っており、地域に根付くカーリングチームを作り続けています。
その中でも主要な大会では顔を見せ、チームを支えています。今なおチームの顔、代表として、ロコ・ソラーレを導き続けています。
選手としての特徴
ジュニア時代からチームのスキップとして国内大会優勝や世界大会参加などの功績を残し、2005年にチーム青森に加入します。チーム青森では主にサードやセカンドを担当し、トリノ、バンクーバーと2大会連続で五輪を経験しました。
ロコ・ソラーレでは当初はスキップを担当し、藤澤選手加入後はセカンドやリザーブに回っています。さまざまなポジションがこなせるオールラウンダーとして活躍しました。
2018年の平昌五輪後に選手としての活動を休養し、現在は法人代表理事としてチーム運営に携わっています。2020年12月からはセカンドチームのロコ・ステラでスキップとして選手復帰。再び氷上に立ちながら、後進の育成にも励んでいます。
本橋選手のインタビュー動画がありました。
すっかり経営者の顔が板についてきた印象です。
日本のカーリング界に革命を起こした、本橋麻里選手の紹介でした。
ロコ・ソラーレの強さの秘訣3選
輝かしい功績を残し続けるロコ・ソラーレですが、彼女達の強さの秘訣はいったい何なのでしょうか?ここではその強さの秘訣を3つご紹介します。
1.豊富なコミュニケーション
ロコ・ソラーレは試合中ひたすら誰かが喋っています。とにかくみんな何かを話していることが多いです。しかも全員の声がよく聴こえます。
カーリングの中継時は、選手にピンマイクがセットされます。作戦の意図などが視聴者にわかりやすくなるようにという意図でつけられているようです。
このピンマイクのおかげで視聴者も選手たちの会話を聞けてより試合を楽しめるようになりました。
1試合だけでも色々な選手の声が聴こえてきますが、ロコ・ソラーレは他のチームよりもよく声が聴こえる印象です。メンバー全員よく声が通るということもありますが、聴こえてくる声からはチームの雰囲気の良さが伝わります。
意見が合わない時もあるそうですが、その時はまずその意見を受け入れた上で、最善の方法を全員で模索しているといいます。チーム全員がベストな状態でショットに臨めるよう工夫しているんですね。
豊富なコミュニケーションをとり、常に相談し合いながら作戦をきめていく姿は、互いを信頼している表れであると言えるでしょう。
2.突き抜けた明るさ
スポーツで感情を出す、ということは近年珍しくなくなってきました。時に怒りの感情を露わにしているスポーツニュースを見ることも増えてきた印象です。
ロコ・ソラーレはというと、いつも楽しく明るく試合に臨みます。その明るさは国内はもちろん、海外のチームからも驚かれるほどです。試合前などはよくお茶目な姿がカメラに映っていますよね。
ここまで明るいチームは、世界的に見ても珍しいということなのでしょう。
ライバルとして戦う選手ですら魅了してしまう底抜けの明るさが、彼女たちの大きな強みとなっています。
3.常に貫く「ロコ・ソラーレらしさ」
上記の2つはロコ・ソラーレのカーリングの大きな特徴です。これらを総称して、近年彼女たちは「ロコ・ソラーレらしさ」という言葉をよく口にします。
世界大会に出る日本のカーリング代表は、野球やサッカーのように各チームから選手を選んで決めるわけではなく、代表決定戦で勝利したチームがそのまま日本代表となる方式を採用しています。
ロコ・ソラーレは、北京五輪の約半年前に行われた日本代表決定戦で、北海道銀行フォルティウス(現 フォルティウス)を破って、日本代表となりました。
2連敗からの3連勝という劇的な逆転勝ちで日本代表となった彼女たち。日本カーリング史上に残る名勝負といわれた試合でした。
彼女たちはその後のインタビューで次のように語りました。
吉田知那美選手のインタビューの時です。「ロコ・ソラーレらしく」という言葉が出てきます。この「らしさ」に誇りを持ち、アイスに立ち続けるからこそ、彼女たちは次々と結果を出し続けてきたのです。
同時に、この言葉が自然と出てくるということは、彼女たちは自分達の強み・弱みを全て知っているのでしょう。そしてそれらを受け入れた上で、自分たちらしくやろうと常々意識しているのでしょう。
どんな時も「自分たちらしさ」を忘れないという、ロコ・ソラーレの根底となるこの考え方が彼女たちの一番の強さの秘訣であるように感じます。
まとめ
ここまで、ロコ・ソラーレのメンバー解説と強さの秘訣について見てきました。世界で多くの経験をして、チームとしてますます円熟味を増してきていますね。
カーリングの2021-2022シーズンは2022年5月に行われた日本選手権をもって終了し、現在シーズンオフに入っています。
来シーズンは2022年10月末から「2022パンコンチネンタルカーリング選手権大会」が予定されており、ロコ・ソラーレはこの大会に出場予定です。
世界でのさらなる活躍を期待して、今後もロコ・ソラーレに注目していきましょう。
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